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閼伽出甕 論考集「翡翠と沼河比売」(19)

 

[但し書き]

#631/631 日本史ボード
★タイトル (FHJ55492)  94/ 6/14   8:40  ( 53)
古代史】RE:玉のはなし             アコ(53行)
★内容
 烏龍さん、RES(脚注)ありがとうございます。さっそく、教えていただいた『飯含
(はんがん)』をキーワードにして、死者の口に玉を含ませる風習について手元
の資料に当たってみました。

 まずは、角川『新字源』から、関係する言葉を引用しておきます。

 含(がん):古代の礼で、死者の口に入れるふくみ玉。
 含玉(がんぎょく):葬礼のときに死者の口に珠玉をふくませる。
           また、その玉。〔周礼・大宰〕

 ということで、「含」自体が《死者の口に含ませる玉》を表わすようです。そ
こで、『極悪コウジエン』で「含」が含まれる項目を検索してみましたが、やっ
ぱり、該当するものは見当たりませんでした。これって、そんなに特殊な言葉な
のでしょうかねえ。(ここで行き詰まってしまった‥‥(^_^;))

 そこで、道教に関する本を何冊か斜め読みしていたら、面白いことが書いてあ
りました。といっても、「含玉」とは直接には関係の無い話なのですが‥‥。

 それは、仙道を体得した者が、死んで仙人となる話、つまり「尸解」(しかい)
です。で、そのとき、何かしらの物に仮託して仙界に昇るらしいのです。そして、
その物には、竹の杖や履物や御札や刀剣などがあるそうですが、

========================================================================
「尸解」における刀剣や竹杖の意義は、仙人が肉体の代わりに捨て置くための形
見にとどまらず、仙人としての神秘力の発揮の道具、言い換えれば、仙人の神通
力のよすがとしての意味を備えるのである。だから、仙人が「尸解」を遂げた後
も、これらの道具は必要であり、『雲笈七籤』巻八四「尸解」の「釈石精金光蔵
景録形法」の条では、「諸々の剣を用いて尸解する者は、剣を身の代わりにする
けれども、五〇〇年の後、この剣は皆、自然にその本来の場所に戻ってゆく」と
言い、「それは、当然、霊人(=仙人)がそうさせるからである」とも言う。こ
のように、肉体の代わりに留どめ置いた刀剣や竹杖が忽然として姿を消し、ある
いは「天に向かって飛んでゆき」(同上)、仙人の手に戻ることによって、「尸
解」なる秘儀は完結するのである。
========================================================================
※別冊歴史読本 特別増刊『「道教」の大事典』(新人物往来社、1994)
 松村 巧著「尸解」より。(pp252-253)

とのこと。

 日本の古墳でも、剣の副葬品が少なくありません。考古学では、それらは被葬
者が生前大事にしていたものとか魔除けといった解釈がなされることが多いよう
ですが、「尸解」を狙ったとは考えられないでしょうか。

 そこで問題なのは、中国では、最初から「尸解」を狙った埋葬の場合も、やは
り口に玉を含ませたのか?ということです。もし、仙界に昇ることを前提として
いるときは、あえて玉を含ませなかったとすると、いろいろ面白い解釈も出来る
のですが‥‥。(また行き詰まってしまった‥‥(^_^;))

 なお、『雲笈七籤』(うんきゅうしちせん)自体は、11世紀初めの成立です
が、古くから伝わる道教経典の要点を集めたものだそうです。ということは、書
かれている内容の全てが、古代にまで遡れる思想とは限らないということか‥‥。
(^_^;)
                        FHJ55492  アコ


脚注:「RES」とは、烏龍さんが1994年6月11日に書き込まれた    #619「サロン】玉のはなし  烏龍」を指す。内容は、    #613「古代史】RE:ヒスイと安曇族          アコ(51行)」の最後    へのフォローである。    また、以下に、烏龍さんによる“飯含”の解説を引用しておく。    →(本文)

 それは死者が高貴であることを示し、玉の霊力で神との結びつきを強くする。また、 玉を含めば、その屍体は腐らないと考えられたのでしょう。  玉は、米や子安貝や蝉の形をしたものなどもあるそうで、米は生命を培い、子安貝は 生殖を、そして蝉は蘇生をシンボル化したものです。  1972年に馬王堆漢墓が発見された時、夫人の生けるがごとき遺体が発見されまし たけど、夫人は玉を含んでいなかったことで、逆に人々から、不思議がられたそうです ね??。

[目次]

2002.10.07 / 2002.10.11


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