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閼伽出甕 論考集「翡翠と沼河比売」(12)

 

[但し書き]

#607/607 日本史ボード
★タイトル (FHJ55492)  94/ 6/ 7  16:21  ( 53)
古代史】RE:#595&#596&#598》「玉」の話など   アコ(53行)
★内容
 私も急に忙しくなっちゃったんですけど、パームさんが日本にいらっしゃる間
に、ご旅行の無事を祈りつつRESしておきます。

 先週、地元の図書館に行っていろいろとコピー取ってきました。その中には、
akira2さんが#503で紹介された文藝春秋の特集記事も含まれていたの
ですが、翡翠(ひすい)の話を含め、日本の考古学者って、不勉強なのか、それ
とも頭が固いだけなのか、×××なヒトが多いような気がします。(あえて、伏
せ字(^_^))

 翡翠については、茅原一也氏(新潟大学名誉教授。理学博士)の研究が知られ
ていますし、近年でも、藁科哲男氏(京都大学原子炉実験所文部技官)の原石産
地分析の研究がありますが、両氏とも考古学が専門ではありませんので、考古学
者の偉いセンセイの中には「よそ者の言うことなど聞く耳持たぬ」とでも考えて
いる方がいらっしゃるのかもしれませんね。

 『古代翡翠道の謎』(森浩一編、新人物往来社)に載っている、藁科氏の分析
報告によると、遺跡から出土した翡翠の内、氏が分析した範囲ではビルマ産と断
定できるものは無いようです(ただし、糸魚川産とビルマ産とは区別が難しいた
め、同時に出土した翡翠を元に糸魚川産と推定したものは幾つかある)。

 ということで、考古学界ではどうだか知りませんが、私も、遺跡から出土した
翡翠のほとんどは国産だと考えています。(^_^)

 話は変わりますが、『万葉集』や『古事記』の解説書を見ると、「渟名川」や
「沼河比売」は「瓊の川」の意味としているものが多いようですね。しかし、漢
和辞典を引くと分かりますが、「瓊」は「赤い玉」のことですから、翡翠とは考
えられません。(脚注1)

 ところが、『釈日本紀』巻六、述義二、神代二の「八坂瓊之五百箇御統」項に

 越後国風土記に云う。八坂丹は玉の名。玉の色青きを謂う。
 故に、青八坂丹玉と云う也。

とあり、それに続いて、

 先師説いて云う。瓊は、赤玉也。‥‥

とあります。(原漢文。アコ、下す) どうも、「玉」とは本来は赤いのだが、
越後国では青い玉を産出するということのようです。つまり、翡翠のこと。

 豊玉姫や玉依姫の「玉」ですが、そうしてみると、赤い玉なのか翡翠なのか、
それとも全く別のものなのか、今一つ、はっきりしない気がします。(^_^;)

 ところで、パームさんの $0596「古代史】信濃の弥生時代」を読んで初めて知っ
たのですが、信濃の弥生時代遺跡って、「日本史」の教科書で解説されている一
般的な弥生時代遺跡とは随分異なっているようですね。まるで、続縄文時代といっ
た感じです。興味深いお話、ありがとうございました。(脚注2)

 で、さっそく、お話の中にあった信州の《縄目模様の弥生土器》の写真が手元
に無いか探したのですが、見当たりませんでした。たぶん、青森県の垂柳遺跡出
土の深鉢のようなものかなあと想像しています。(脚注3)

                        FHJ55492  アコ


脚注1:「瓊=赤い玉」としているが「瓊=赤玉」が正しいようだ。    #618「古代史】RE:赤い玉 の材は?        アコ(98行)」    を参照のこと。    →(本文)

脚注2:この点については、    #561「古代史】RE:RES】科野の国         アコ(39行)」脚注1    を参照のこと。    →(本文)

脚注3:この土器は“浮線文土器”と呼ばれるもので、金関恕+大阪府立弥生文化    博物館編『弥生文化の成立』(角川選書 265、1995年9月30日初版発行)の中    で設楽博己(したら・ひろみ)氏が書かれた「第二章 各地域での弥生時代    の始まり/中部高地・関東――条痕文文化の広がり」の冒頭(p.180)におい    て、以下のように解説されている。

 およそ紀元前三〜二世紀、縄文晩期終末の関東地方は浮線文(ふせんもん)土器 の分布圏にとりこまれた。浮線文土器は、浅鉢の多くと深鉢の一部を網目のよう な隆起線文(りゅうきせんもん)で飾っていることから、この名がある。分布は 長野県や山梨県などの中部高地、新潟県や福島県などの北越、南奥地方という広 い範囲に及ぶ。浮線文土器は、以下の共通性をもっている。深鉢と浅鉢を主体と する比較的単純な構成で、多くは口縁が水平に仕上げられ、それまで特徴的だっ た波状口縁(はじょうこうえん)がほとんどなくなっている。縄文が失われていく 傾向にある。深鉢には肩に段がつけられるものが多い。この時期の西日本一帯に は、口縁に貼りめぐらした隆起帯を特徴とする突帯文(とったいもん)土器が広がっ ていた。浮線文土器のこうした特徴は、突帯文土器の影響が強いことを物語って いる。

   なお、浮線文土器の写真は、    岐阜県文化財保護センターの「遺物紹介」    (URL=http://www.maibun.gifu-net.jp/shosai/sjh44-279.htm)などで見る    ことができる。    →(本文)


[目次]

2002.10.07 / 2002.10.11


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