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閼伽出甕 論考集「翡翠と沼河比売」(3)

 

[但し書き]

#542/542 日本史ボード
★タイトル (FHJ55492)  94/ 5/26  20:52  ( 61)
古代史】安曇》翡翠の川と綏靖天皇       アコ(61行)
★内容
 翡翠(ひすい)といえば、#537でパームさんから教えていただいた姫川が
有名ですが、日本でも産出することがわかったのは、なんと、昭和16年(1941)
のことだそうです。ですから、それ以前に遺跡(縄文〜古墳時代)から出土して
いた翡翠は、皆ビルマ(現ミャンマー)から運ばれたものであるというのが定説
だったとか。(^_^;)

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ひめ‐かわ【姫川】‥カハ
  長野県北部から新潟県南部を流れ、糸魚川(イトイガワ)で日本海に注ぐ川。糸魚川‐
 静岡構造線に沿い、電源開発が進む。翡翠(ヒスイ)を産。
                        〔EB『広辞苑』第四版〕
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 ちなみに、現在では、といっても10年前の資料ですが、産地として確認され
ているのは、新潟・富山・兵庫・鳥取・長崎の5県だけだそうです。

 さて、『万葉集』巻第十三にこんな歌があります。岩波・日本古典文学大系
(以下、岩波本)から〔大意〕を含め引用しておきます。

3247 渟名川(ぬなかは)の 底なる玉
   求めて 得し玉かも
   拾(ひり)ひて 得し玉かも
   惜(あたら)しき 君が 老ゆらく惜しも

〔大意〕渟名川の底にある立派な玉。私がやっと探し求めて手に入れた玉。やっ
    と見つけて拾った玉。このすばらしいあなたが年をとって行かれるのが
    ほんとに惜しい。

 で、岩波本頭注では、渟名川を《空想上の川。高天原に渟名井があるので、こ
の川もやはり高天原にあるのだろうという説もある。ヌは玉。ナは助詞、ノに同
じ。従って玉川の意。》(三、p349)とあります。

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ぬ‐な‐かわ【渟名川】‥カハ
  (ヌは玉。ナは助詞ノに同じ) 空想上の川。高天原にあるという。万一三「―の
 底なる玉」                  〔EB『広辞苑』第四版〕
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 ところが、『延喜式』の「神名帳」を見ると、「越後国頚城郡十三座」の筆頭
に奴奈川神社(ぬなかわじんじゃ)が掲げられていますし、『和名抄』にも越後
国頚城郡沼川(奴乃加波)郷とあります。そこで、最近では、この「渟名川」は
律令時代の頚城郡を流れていた実在の川であろうと考えられているようです。

 そうなると、岩波本は単に「玉」としていますが、この「玉」はこの地域特産
の翡翠のことであると想像されるわけです。つまり、「ヌ」は翡翠の呼称の1つ
であり、「渟名川」とは「翡翠の川」を表わすのではないかということ。

※『国史大辞典』「くびきぐん(頚城郡)」項によると、この頚城郡とは、現在
 の上越・新井・糸魚川市、西頚城・中頚城・東頚城郡にあたる地域。日本海に
 面し、三島・魚沼、信濃国(長野県)安曇・水内、越中国(富山県)新川の諸
 郡に接していたとのこと。

 ところで、『日本書紀』には神渟名川耳尊(かむぬなかはみみのみこと)とい
う人物が登場します。これは、神・渟名川・耳・尊で、「渟名川」以外は尊称で
しょう。ということは、この人物は「渟名川」あたりの出身者ということになり
ますね。でも、この人物、架空とされている第二代綏靖天皇なんですよね。(^_^)

※本居宣長は『古事記伝』で「渟名川」を実在の川であるとしているという。ま
 た、「耳」が尊称であるというのも『古事記伝』が最初らしい。ともに未確認。
(脚注)
                        FHJ55492  アコ


脚注:この点については、後に書いた以下で『古事記伝』を引用している。    #768「古代史】安曇》「耳と目の結婚」〔4〕     アコ(87行)」    →(本文)


[目次]

2002.10.07 / 2002.10.12